送金業務を社長の元から剥がすには?

23/09/05 |Case Study 送金業務を社長の元から剥がすには?

<目次>

事例の配信がいよいよスタートします!

本日から、「バックオフィスDXの道のり〜IPOを目指すベンチャー編」として、弊社が創業当時から支援している某スタートアップの、クラウドサービス導入・業務効率化事例の配信をスタートいたします!

弊社は創業以来多くの企業のクラウドサービス導入支援を行ってきました。その中でもスタートアップの会社立ち上げ~IPO準備に至る過程を通じて、事業規模により生じる課題や、それに対してどのような解決策を選んできたかを知ることができます。ぜひ全コンテンツをご覧いただけたら嬉しく思います!

本シリーズを通じて、

  • 自社の課題が何かが分からない
  • 課題は分かっているが、何から始めていいかが分からない
  • 同じ課題を持つ他社はどのように取り組んだのか知りたい

といった皆さんのモヤモヤが解消されるよう連載を進めてまいります!

 

本シリーズで扱う某スタートアップ(以下A社)の基本情報は以下の通りです。

~A社の当時の状況~

  • 従業員数:10名(業務委託含む)
  • 導入していたシステム(主要なもの)
    • コミュニケーションツール:Slack,Google
    • 会計・人事ツール    :マネーフォワードクラウド会計
    • 法務ツール       :クラウドサイン(無料版)

送金業務の課題と具体的な解決策

第1弾として、A社の会計業務、中でも送金業務の課題と、実際に弊社が支援した解決方法をご紹介します!

送金業務はお金に関わる重要な業務であるため慎重さが求められますが、度重なる確認のために時間と手間がかかってしまいます、、、

他社事例をご確認頂き、自社でも同じような課題がある場合は参考にしていただければと思います!

 

弊社がサポートを行った当時、A社の送金業務は以下のような状況でした。

 

▶起こっていたこと


  1. 社長が月末最終日に丸1日送金業務を行っていた

  2. 異なる支払サイト(25日期限)の送金を忘れることが多く、督促が頻繁に来ていた

  3. 社長自身、お金周りを他人に引き渡すことに抵抗感があった。加えて、バックオフィスへの業務の落とし方が分からなかった

A社の社長は送金業務を他人に引き渡すことに抵抗があり、経理部門の社員や外部の専門家に業務を委託してきませんでした。こうした気持ちを持つ社長は少なからずいらっしゃると思います。やはり社長が自分の目でしっかり確認するのが一番安心できますからね、、、

その結果、月末最終日の送金業務が社長1人に集中する結果となりました。件数が少ないうちは、業務上も大きな影響はないと思いますが、送金件数が増えるにつれ、業務の抜け漏れも出てくるようになってしまいました。

月末は、社長が本来時間を割くべき業務になかなか時間を確保できないという状況に陥っていました。

ビジネスパーソンの悩み

ではこうした状況で、A社はどのようなアプローチを取ったのでしょうか?

 

■解決の方向性

①ツール導入

②ルール構築&運用改善

 

■具体的な解決策


  1.  インターネットバンキングのオプション機能を申し込む(解決の方向性:①)
     
    1. A社は当時、メインの口座としてインターネットバンキングを使っていました。インターネットバンキングには、追加で申し込みをすれば、担当者別にIDを発行できる機能があります(メガバンクや地銀のオンラインバンキングにも同様の機能があります)。

      担当者別にIDを発行できることに加え、管理者、一般、参照といったように権限を分けることもできます。経営者としての業務が多忙を極める中で、こうした細かいオプション機能の活用に意識を向けることができない状況でした。

      そこで、弊社はインターネットバンキングの詳細機能を確認し、まずは複数ユーザーで口座を管理する機能を申し込むことをアドバイスしました。

  2. Admin権限を持つ社長と一緒に画面共有しながらID・権限設定を行う(①、②)

    1. そのタイミングで、管理部門を担当する正社員が入社しました。そこで、インターネットバンキングのAdmin権限を持つ社長と管理部門担当社員とで一緒に画面共有しながら、IDと権限の付与作業を一緒に行いました。

      ベタなやり方ではありますが、社長としては権限をそのまま渡して設定するのではなく、「お金周りを他人に渡すことに抵抗感がある」という懸念を払しょくできるよう、説明を聞きながら正しい設定を一緒に行って頂きました。

  3. 承認権限をもらう側に牽制が効くようにする(②)
     
    1. 権限を設定する際に、Admin権限を持つのは社長のみと決めました。会社の代表印の管理と同じような考え方で、とても大事な情報なので、社長にのみ管理してもらうようにしました。

    2. 同時に、承認権限を付与できるのはAdmin権限を持つ社長のみとし、社長が把握していない状況で誰かが振込できるというプロセスを構築できないようにしました。

  4. 振込データ作成業務は社員に落として、社長に承認だけをやってもらう(②)
     
    1. 権限を設定する際に、
      1. 振込データ作成業務:管理部門の社員
      2. 振込承認業務   :すべて社長
      という形で権限を設定しました。

      このような設定にすることで、社長は振込データの作成業務から解放されましたが、承認の部分で全て関与するので、安心して実務を社員に任せることができるようになりました。

  5. 月初1営業日で現預金を合わせる(②)

    1. 月初1営業日目に現預金を合わせることで、送金業務が確実に行われていることを確認できるようにしました。万が一、月末に支払い漏れがあったとしても、仕入先側の入金確認前にこちらが支払い漏れに気づけるようになります。

      支払の遅延は会社の信頼に関わるので、漏れが起こらないようにするとともに、発生したとしても影響を最小限に押さえるプロセスを構築することも同時に行いました。

      このように、ただシステムを活用するだけでなく、チェック・統制を利かせる業務プロセスを構築し、業務の質の向上にもつなげるように支援しました。

 

A社が活用したインターネットバンキングの個別の紹介はここでは控えさせていただきますが、インターネットバンキングを選ぶ際は、下記のような考え方で選ぶとよいと思います。

  • 送金手数料

  • サービス

  • ブランド力

インターネットバンキングのメリットとして、何より送金手数料の安さがあるかと思います。また、こちらのインターネットバンキングは、担当者別IDを発行して権限管理でき、担当者ごとの操作履歴により万が一の不正利用も防止でき、しかも全て無料。とてもサービスが充実していました。

後日談

システムを導入したA社の後日談をご紹介します。システムを導入して良かったことはもちろんありましたが、大変だったこと、初めて分かったこともありました。皆さんが同じような解決策を実行する際の参考にしてみてください。

▶後日談


  1. 銀行の総合振込サービスの申込が結構大変だった

  2. クラウド会計ソフトとネットバンキングの相性が重要だと分かった(クラウドサービスを活用した業務効率化を実現するために重要)

  3. 経理が二人体制になり統制が効くことが見えてきたので、社長の承認もやめることができた(一人体制の内は、1人で完結するようにしない)

 

結果として、社長による支払業務をなくすことで、社長は経営に集中できるようになるとともに、業務品質の向上も図ることができました。

振り返ってみると、解決策としてはどれも些細なことではあるのですが、現業が忙しい中で、社長自身がなかなか社内の改善作業に時間を割くことができないなか、ちょっとしたサポートの積み重ねで業務が改善していく効果を実感して頂きました。

新たなシステム・機能を導入する際は、既にあるシステムとの相性(連携可否など)を確認しておくことが重要です!導入前に、それぞれのシステムのホームページを見て情報を確認してみたり、サポート窓口に問い合わせたりしてみてください。導入するための土台をしっかりと作りましょう。

実例を自社の課題解決のヒントに!

今回はシリーズ第1弾として、送金業務に課題を抱えていたA社の実例をご紹介しました。

今回ご紹介した会計業務に加え、人事労務、法務、情報システム、総務といった様々な分野で、実例を通じて課題解決のヒントをどんどん提供していきます!

業務のお困りごとがある方や、実例をもっと詳しく聞いてみたい方などはご遠慮なく弊社にお問い合わせください。今後も本シリーズを皆さんの課題解決にお役立ていただければと思います。

 

第2弾もお楽しみに!

 

チョイデジは仙台を拠点に全国でDXを進める企業をサポートする会社です。豊富な実務経験を持つメンバーが圧倒的なコストパフォーマンスで皆様の業務効率化をサポートいたします。

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