クラウドサービス導入の進め方②:導入までのステップ

23/08/30 |Blog クラウドサービス導入の進め方②:導入までのステップ

<目次>

    1. STEP1 要件まとめ
    2. STEP2 設計
    3. STEP3 構築
    4. STEP4 テスト
    5. STEP5 社内教育 
    6. STEP6 運用開始

「ノーコードツール」とは?

現在広く普及しているクラウドサービスの多くは、「ノーコードツール」の一角をなしています。そもそもこの「ノーコードツール」とはいったい何なのでしょうか?

まず、「ノーコード(No Code)」とは、ソースコードの記述なしに直感的なドラッグ&ドロップの操作のみでアプリやWebサービスが開発できる方法を指します。
用意されたパーツを配置するだけで簡単にシステム構築ができるのです。

「ノーコードツール」とは、ノーコードでシステム構築できるサービスです。
プログラミングなしでアプリを開発できるため、気軽にアプリ開発に取り組めます。

ノーコードツールが開発される前は、たとえばWebサイトを作るとなると、HTMLなどのプログラム言語を学び、自分たちでサーバーを用意する必要がありました。
しかしノーコードツールの登場により、プログラミング知識がなくとも、Webサイトなどを作成できるようになりました。

近年、デジタルトランスフォーメーション(DX)が各企業で推進されており、従来の紙・ハンコ文化や対面でのコミュニケーションを改め、デジタルを活用したペーパーレス化やビジネスのオンライン化が進んでいます。そういった中で、ノーコードツールは、非IT部門でも自社内でカスタマイズしたアプリ開発ができるため、デジタル活用の手段として有効であるとして認知され始めています。

低コストで開発を最小限に抑え、デジタル化を後押ししてくれるこうしたツールは便利なツールである一方で、適切な段階を踏まずに導入しなければ、その真価を発揮できないどころか業務の非効率化をももたらしてしまいます。

今回は、こうしたノーコードツール、すなわちクラウドサービスの導入の最適な進め方について皆様にご紹介させていただきます。

プログラミングコードを使用しない社員

クラウドサービス導入の進め方を押さえよう

導入の進め方は全6段階からなります。

  1. STEP1 要件まとめ


    この段階では、クラウドサービスを導入する目的・システム化する範囲・期限・体制を決定します。

    導入する目的を明確にできないと進むべき方向を見失い、なぜ導入したのかが分からなくなってしまいます。様々なクラウドサービスがある中で、

    「なぜ特定のこのツールでシステム化するのか。」

    「他のツールではなくこのツールでなければならないのはなぜか。」

    といった点も明確にできると良いでしょう。

    ここでは、次の3つの観点を明確にしましょう。

    1. 誰が業務に携わっているか?
      システム化したい業務範囲に携わる登場人物をリストアップします。

    2. どんな業務があるのか?
      リストアップした人たちが、どんな仕事をしているのか洗い出します。

    3. いつ業務を行うのか?
      洗い出した業務を時系列で整理します。

    また、利用者へのテストや教育の依頼方法、完了報告の取り決めも行いましょう。
    利用者が他部署の場合、テストの依頼や教育の依頼を誰に行えばよいかが分からず、当事者の巻き込みが不足することでプロジェクトが停滞してしまう事があります。したがって、この段階で、現場責任者が各利用者の調整を行い、完了報告をまとめてもらうように決定しておく必要があります。

    システム化に関するスコープ、最低稼働要件を確定し、決裁者・構築担当者・現場責任者の3者間で合意し、体制を整えておく必要があるのです。
  2. STEP2 設計


    システム導入の要件と体制を整えたら、ツールの設計を開始しましょう。

    この段階では次の構築に向けた、ツールの完成イメージを検討します。実装したい機能やデザイン、画面表示などについて企画します。ここで企画したものをベースにツールの構築を行っていくため、出来る限り詳細な決定を行うことが重要です。

    ここでは、設計までにかける時間を短縮することが早期での運用開始の近道となるため、スケジュール管理を綿密に実施しつつも、スピーディーな設計ができるようにしましょう。のちにテストや運用の段階で出てきた課題や修正点と向き合うことになりますので、設計には時間をかけすぎないようにするのがポイントです。

    <ノーコード・ローコードツールを導入する際のポイント>
    これまでお伝えした要件のまとめやデータベースの設計は、システム開発の中でも上流工程と言われる工程で、実際は熟練したエンジニアが担うケースが多いです。
    データベースの設計に矛盾があると、アプリの機能間の連携がうまくいかずに業務が非効率になったり、最悪アプリそのものを作り直さなければならなくなります。

    自社にITに詳しい社員がいない場合は、ツールを提供している企業や、専門家の力を借りながら進めることで、導入効果を最大限引き出すことができます。
  3. STEP3 構築


    この段階では、まずは手を動かしてシステムを実際に触ることを心がけると良いでしょう。必要な機能は搭載されていて実際に使えそうか、ダッシュボードなどの画面表示は見やすいか、などを確認してみましょう。

    注意点として、この段階では完璧な設定は行わないようにすることが重要です。
    完璧な設定を行ったと思っても、テスト時に課題や修正点は必ず出てきます。
    完成度80%程度でテスト運用を行い、改善のサイクルを回しながら徐々に100%に近づけていくことがコツです。
    また、とにかくシステムには毎日触れるようにしましょう。まったく触らない期間が続くと運用開始が遅れてしまう原因になりかねません。現業が忙しい中でも、毎日少しずつ触り続けて構築していきましょう。

    構築手順は以下のような順番で進めると良いでしょう。

    1. データベース・項目の作成・使い方の決定
      必要なデータベース・項目を登録します。既にデータベース・項目がある場合は、使用する項目とパラメータを登録していきます。

    2. 自動処理の作成(ノーコード・ローコードツールの場合)
      「帳票を出力」「別DBにデータを連携する」「メールを送付する」などの自動処理を作成し、実際に動作の確認をします。

    3. メニュー・絞り込みの作成・使い方の決定
      データを登録するためのメニューや今月請求書を発行するデータのみが表示されるメニューを作成します。既に機能が構築されている場合は、使い方や利用タイミングを決定しましょう。

    4. 画面の作成・使い方の決定
      受注情報を登録する時には必要のない項目を非表示にするなど、見た目を整えます。既にある画面を使う際には、どの項目に何の値を入力するかを決めます。
      想定される業務パターンと、それぞれで使用する項目を決めておくことが、後々の運用において大切になってきます。

    5. アクセス権限の設定
      使用する各機能に対して、営業担当者が利用できるもの、利用できないもの等を指定します。

    このような順序を適切に踏んだとしても、現場からは少なからず抵抗の声が上がります。したがって、入力画面や操作イメージなどは出来るだけ早めに現場責任者に相談しながら設定を進めていくことが重要です。
  4. STEP4 テスト


    テスト段階では、実際の業務データを利用し、利用者にテストを行ってもらいます。
    テストを行うことで、操作に問題がないことを確認できるだけでなく、想定していなかった不具合もたくさん発見できることで、実際のユーザーの声を反映した利便性の高いシステムへと洗練されていきます。

    しかし、通常の業務に加えテストを行う必要があるためなかなか現場のユーザーが動いてくれず、テスト段階に入ってからプロジェクトが停滞してしまうケースも少なくありません。そのため、テストの期限をしっかりと決め、現場責任者を巻き込み進捗状況を確認することが重要です。

    また、システム機能だけをテストするのではなく、想定される業務パターンごとに、システムの前後の業務についても検証しましょう。
    システムの操作だけでなく、各業務の流れと使用するシステム・機能を一気通貫で確認・検証しないと、導入後に現場の新システムへの理解が進まず、業務が停滞します。

    こういった観点でのテストを経て、少なくとも業務が止まるような不具合が発生しないことは事前に確認しておきましょう。

    必ずしもすべての業務をシステム化することが最善とは限りません。場合によっては運用を見直し、無理のない構築と運用を目指す柔軟性も必要といえます。
  5. STEP5 社内教育


    ここでは、運用マニュアルを準備し、決裁者・構築担当者・現場責任者が中心となって社内教育を開催します。
    ユーザーに納得してもらったうえでシステムを利用してもらうためには以下の5つの点をしっかりと伝えるようにしましょう。

    1. システム導入の目的

    2. システム導入後の想定業務フロー

    3. 運用ルール

    4. システム機能の説明と使い方

    5. 操作マニュアルの格納先と社内問い合わせ先

    注意事項として、運用マニュアルは必ず準備しましょう。

    よくあるケースとして、システム会社で提供している操作マニュアルをそのまま現場に渡して終わりとするケースがありますが、このやり方だと、その後の運用定着化の際に苦労することとなります。

    先ほどもお伝えした通り、各業務の流れと使用するシステム・機能を主要業務ごとに説明し、そのうえで使用するシステム機能の説明をしないと、現場の担当者の新システムへの理解が進みません。
    一方で、現業が忙しく、運用マニュアルを整備する作成する時間がないという問題も、現実問題として起こり得ます。導入の大切なポイントですので、一次的に現業の負荷を調整したり、場合によっては専門家の手を借りて対応していくことも必要になります。
    運用マニュアルがあると自己解決を促すことができ、質問を減らして説明を簡略化することができますし、作成後に現場側で工夫して更新することもできるので、おすすめです。

    また、利用人数が多い際はまず少人数で利用を開始するようにしましょう。
    問題がないことを確認してからすべての利用者に広げていくことが成功のコツです。
  6. STEP6 運用開始


    いよいよシステムの運用開始です。
    運用する中で、必ず新たな課題や修正点が出てきます。ユーザーの意見を集める仕組みを用意し、運用しながら改善のサイクルを回し続け、より使いやすいシステムへと洗練していきましょう。

専門家のサポートによる確かな導入と定着ならお任せください

今回はクラウドサービスの導入ステップについて詳しく紹介させていただきました。

「クラウドサービス導入の進め方①」では、本記事の前提となる導入の準備について分かりやすく解説しています。お読みでない方はぜひこちらにも目を通していただきお役に立てていただければと思います。

クラウドサービスの導入と定着には、適切な段階をしっかり踏まえることが重要なのはもちろん、やはり専門家による適切なサポートも欠かせません。

弊社のIT活用支援サービスでは、IT活用プランの策定から、ITツール導入支援(ノーコード開発等)、プロジェクト管理まで、一気通貫して皆様のデジタル化をサポートいたします。

ノーコードツールを正しく導入し定着を図り、低コストで開発を最小限に抑えてデジタル化を実現するために、ぜひ弊社のサービス導入をご検討ください。

チョイデジは仙台を拠点に全国でDXを進める企業をサポートする会社です。豊富な実務経験を持つメンバーが圧倒的なコストパフォーマンスで皆様の業務効率化をサポートいたします。

「自社の課題が分からない......」

「自社に合ったクラウドサービスがどれか分からない......」

「ビジネス全体の課題を相談できるパートナーがほしい......」

などといったお悩みを持つ方は、遠慮なく弊社にご相談ください。初回相談は無料です。まずは以下のフォームよりお気軽にご相談ください。

←記事一覧に戻る

チョイデジ株式会社

Written By: チョイデジ株式会社