#6 設備稼働だけじゃない — IoTデバイスにセンサーをつけて広がる活用パターン
この記事を読むと分かること
・DsyncのUSBセンサー拡張で広がる、設備稼働モニタリング以外の活用領域
・「自社の困りごとに合わせてセンサーを選べる」という設計思想の意味
・温度・電流・振動など、具体的なセンサー活用パターンと実例
ここまでの記事では、Dsyncを「設備の稼働状況を見える化するシステム」として説明してきました。
実際、多くの導入企業ではまず稼働率の見える化から始めます。
しかし、Dsyncというデバイスの本当の強みは、設備稼働情報を得るだけにとどまらない点にあります。
USBポートを使って様々なセンサーを追加できる拡張性が、自社の困りごとに合わせた使い方を可能にするのです。
この記事では、稼働モニタリングのその先で、IoTデバイスがどんな風に製造現場の課題を解決していけるのか?
実際の活用パターンを3つご紹介します。
なぜ「拡張できる」ことが大事なのか
中小製造業のIT導入では、「最初に決めたことしかできないシステム」にお金を払って、後で後悔するケースが少なくありません。
「稼働率の可視化を目的に入れたシステムで、確かに見えるようにはなった。でも、現場が次に知りたくなった『金型の温度』までは取れない。。。」
こういう場合、別システムを追加導入すると二重投資になります。
さらに、データも分断されて、「あっちのシステムとこっちのシステム、両方見ないと判断できない」状態に陥ります。
Dsyncは、この状況を避けるためにUSBポートでのセンサー拡張を前提に設計されています。
最初は稼働モニタリングから始めて、必要になったら同じデバイスにセンサーを足していく。
これが、「使いながら育てる」という理想的なアプローチを可能にします。

活用パターン①:冷却ユニットメーカーが顧客現場で製品優位性を実証
ある冷却ユニットのメーカーでは、自社製品を顧客へ売り込む際、こんな課題を抱えていました。
「うちの冷却ユニットは、競合品より省エネで温度安定性も高い。でも、それを顧客に数字で示せない」
カタログ値では性能差をアピールしても、実際の現場で動かしてみないと違いは見えません。
そして顧客側は「動いていればどれも同じ」と思いがちです。
そこでDsyncに電力センサーと温度センサーを取り付け、顧客現場で自社製品の稼働データを取り始めました。
- 電力消費量
- 設定温度に対する実温度の追従性
- 冷却サイクルの安定性
これらが競合品との比較データとして手元に残るようになったのです。
その結果、顧客への提案資料が「カタログの理論値」ではなく「あなたの現場での実測値」で語れるようになりました。
商談の質が一段上がったのは、言うまでもありません。
活用パターン②:カチオン塗装の電極棒劣化を電流値で予兆検知
カチオン塗装は、自動車部品などで広く使われている表面処理技術です。
塗料の中に電気を流して、被塗物に塗料を電気的に付着させる仕組みなのですが、ここで使われる電極棒が消耗品です。
この電極棒、1本あたり30万円~50万円という高額品です。
しかも、劣化のタイミングを見極めるのが難しい。
早すぎれば余計な費用がかかるし、遅すぎれば塗装品質が落ちて不良品が出ます。
ある工場では、Dsyncに電流センサーをつけて、電極棒に流れる電流値を継続的に記録し始めました。
新品時の電流値、1か月経過後の電流値、3か月経過後の電流値。
これをデータ蓄積していくと、「電流値がこの数値を切ったら交換時期」という自社固有の交換基準が見えてきます。
感覚と経験に頼っていた交換タイミングが、データに基づくものになりました。
年間で電極棒の使用本数を最適化できれば、それだけで導入コストは十分に回収できます。
活用パターン③:鋳造メーカーの湯温監視
鋳造の品質を左右する最大の要因の一つが「湯(溶けた金属)の温度」です。
アルミインゴットを溶かす炉の中で、湯の温度が適正範囲に保たれているか、追加投入のタイミングは適切か。
これらは現場オペレータの「目」と「経験」で管理されてきました。
しかし、現場オペレータの温度管理がどうも怪しい。
そこである鋳造メーカーは、Dsyncに熱電対(高温対応の温度センサー)をつけて、炉の温度をリアルタイムで記録し、グラフで可視化しました。
見えるようになって分かったのは、想像以上の温度変動です。
現場の感覚では「だいたい適正範囲」と思っていたのに、データで見ると意外と上下していた。
投入タイミングがほんの数分ズレるだけで、湯の温度が大きく下がってしまう。
このデータをもとに、若手にも分かる「投入の判断基準」を明文化できました。
職人の感覚を、データで補強する形で次世代に渡せるようになったのです。
「うちでは何ができそうか」を一緒に考える
3つの事例をご紹介しましたが、共通しているのは「最初から壮大な計画があったわけではない」ということです。
冷却ユニットメーカーは「自社製品の優位性を見せたい」、塗装メーカーは「電極棒のコストを最適化したい」、鋳造メーカーは「湯の温度管理を標準化したい」。
それぞれ、自社の現場で困っていたことに、IoTデバイスを使って答えを出した結果なのです。
ですから、もしあなたが「IoTで何ができるか」を考えるなら、順番は逆です。
まず自社で困っていることをリストアップして、そこにIoTデバイスとセンサーが効きそうかを考える。
これが正しい順序です。
チョイデジでは、まずお客様の困りごとを丁寧にお聞きします。
そのうえで、「それなら、こういうセンサーをつけてこういうデータを取れば、判断材料になりますよ」というカスタマイズの提案をしています。
まとめ
Dsyncは「設備稼働モニタリングのデバイス」ではなく、「自社の課題に合わせて拡張できる、製造業のためのIoT基盤」です。
稼働モニタリングから始めるのが王道です。しかしその先には、電流値による予兆検知、温度監視、振動監視、消費電力測定など、無数の応用領域が広がっています。
そしてその応用領域は、お客様自身が一番よくご存じです。
「本当は誰か張り付けて24時間監視したいんだけどね」これが入り口です。
「うちには困りごとはあるけど、これがIoTで解決できるのか分からない」という段階こそ、ご相談いただきたいタイミングです。
技術ありきではなく、課題ありきで、一緒に組み立てていきましょう。

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