#7 現場が動き出す — 製造業4社のデータ可視化・活用事例
この記事を読むと分かること
・製造業4社が、IoT可視化を通して実際に起こした改善活動の中身
・業種・規模が違っても共通して見られる「変化のパターン」
・自社に当てはめるときのヒント
Dsyncで見える化を始めた製造業4社の事例を、この記事ではまとめてご紹介します。
業種も規模も課題も異なりますが、それぞれの企業が見える化により変わったことは、どこかにあなたの会社と重なる部分があるはずです。
事例1:スプリング製造業
導入前の課題
手書き日報の不備が多く、管理部門から現場への問い合わせが頻繁に発生。
「この生産数はどのロット分?」「ここに書いてある“調整”って何?」というやり取りが日常茶飯事。
現場も不満がたまり、「何度も作業を中断されて迷惑だ」という状態でした。
Dsyncを活用したソリューション
主要な生産設備にDsyncを取り付け、生産数と稼働状況を自動取得する仕組みを構築しました。
現場には「番組・ロット番号の入力」と「異常時のコメント」だけを担当してもらう形にしました。
導入後の効果
- 生産数はシステムが自動記録し、管理部門から現場への問い合わせはほぼゼロに
- 現場が「記録しないといけないこと」が大幅に減り、作業集中度が向上
- 予期していなかった効果として、「実際のトラブル」と「日報の記述」のズレが明確になった
- 記録ルールを見直したところ、報告の正確性と日報に対する信頼性がともに向上
事例2:自動車部品・金属加工業
導入前の課題
日報上は「今週は問題なし」と報告されているのに、月末に集計してみると生産計画を下回る。
リーダーも現場もサボっているわけではないのに、原因がつかめない。
その状況が数ヶ月続いていました。
Dsyncを活用したソリューション
データを取ってみると、認識されていない「ちょこ停」が1日中で頻発していることが明らかになりました。
1回あたりは数分でも、50台×20日となると大きな時間になり、生産計画を下回る原因になっていたのです。
現場と一緒に原因を見ていくと、定期メンテナンスのタイミングが適切でないことが見えてきました。
導入後の効果
- メンテナンスルールを部署横断で見直し、ちょこ停の発生頻度が大幅に減少
- 夕方に仕事を早めに切り上げるケースもデータで見えるようになり、見直しの話し合いができるように
- 「頑張りが足りない」「気持ちの問題」ではなく、「仕組みの見直し」に話が進むようになった
- 設備の稼働目標と生産計画の見直しができた
事例3:金属パイプ加工メーカー
導入前の課題
月初と月末で稼働率に大きなばらつきがあると以前から言われていたものの、その原因も規模もつかめておらず、「そういうもの」として受け入れられていました。
計画達成にブレがあるため、生産計画では設備の生産キャパに対して「大体こんな感じ」で小さめに見積もるポリシーを取らざるを得ず、機会損失が生じていました。
Dsyncを活用したソリューション
機械ごとに稼働率をリアルタイムで可視化し、週次・月次でトレンドが見えるダッシュボードを提供しました。
さらに、夜勤時間帯や複数機械を同時に見ることもできるようにしました。
導入後の効果
- 月初・月末のばらつきの実態がデータとして数値化された
- 現場と管理サイドが同じデータを見て話す状態が実現し、「頑張れ」「こっちはやってる」の効果のないラリーから脱出
- 定期会議では「見えたデータをもとに何をやるか」の議論が始まり、会議の質が一段高くなった
- 生産計画に信頼性が出て、ポリシー見直しの議論も動き出した
事例4:プレス加工メーカー
導入前の課題
夜勤時間帯の稼働状況が、現場にいる人以外は誰も見えていない状態。
金型は長期連続使用で劣化が進んでいるのではないかという懸念もありましたが、データがないため金型メーカーとの交渉も「感覚で話す」しかない状態でした。
Dsyncを活用したソリューション
主要プレス機にDsyncを設置し、稼働データを取得。
さらにショットカウントも取得し、金型ごとの使用回数を集計できるようにしました。
導入後の効果
- 夜勤時間帯を含めた全時間帯の稼働状況が、翌朝にはデータとして見えるように
- 金型ごとのショット数による寿命管理がはじまり、交換・メンテナンスの予定をデータで交渉できるように
- 夜勤スタッフの作業手順見直しも一部進展
- 現場にいる人しか知らなかった「夜勤の実態」が、経営チームも見られるようになったことが、予想を超える価値を生んだ
4社に共通して起きていること
業種も規模も課題も違うが、この4社には共通するパターンがあります。
パターン①:「見えたら明らかになった」意外な事実
4社とも、データを取り始めてから30日以内に「えっ、こんなに?」という驚きを経験しています。
長年「そうだろう」と思っていたことが、データになると同じではない。
これが見える化の最初の価値です。
パターン②:現場に原因を求める必要がなくなる
4社とも、「現場の努力不足」として処理されていた問題が、仕組みやルールの見直しで解決可能だと分かりました。
これは現場のモチベーションにもポジティブに作用しています。
パターン③:何よりも「会議の質」が変わる
これは意外と語られにくい効果ですが、実際には最も大きいでしょう。
データがあると、会議での議論が“だれが”ではなく“どこが”に対して行われるようになる。
これが、時間×人数で考えると、有意義な生産性向上につながります。

自社に当てはめるときのヒント
これらの事例から、あなたの会社で可視化を検討して頂く際の3つのヒントを抽出しました。
ヒント1:「もしかして」と思うことをデータで確かめる
「うちももしかしてちょこ停多いのかも」「夜勤の状況、本当はどうなんだろう」「金型、いつ壊れるか分からない」。
こうした“もやもや”とした仮説こそが、最初にデータを取るべき領域です。
ヒント2:現場を巻き込んで「一緒に見る」
4社とも、データを取り始めても「見る人」が現場と離れた管理サイドだけでは、効果は薄まってしまいます。
現場のスタッフと一緒にデータを見て「これ、何?」と話せる状態を作ることが、改善を加速していく鍵です。
ヒント3:最初から完璧を狙わない
4社とも、最初は一部の機械から始めています。
効果を見ながら、取得するデータを広げ、センサーを足し、ダッシュボードを改良していく。
「使いながら育てる」という進め方が、中小製造業には適しています。
まとめ
今回ご紹介した4社の事例は、いずれも大規模なDXプロジェクトではありません。
一部の機械、一部のセンサー、一部の担当部門から始まったものばかりです。
しかし、見えていなかったものが見えるようになるだけで、長年の課題が動き出したり、思いもよらない価値が生まれたりするのです。
「うちも何かやらないと、とは思うんだけど...」という状態でしたら、まず2週間のお試し導入から始めてみてください。
そこで見えてくる「意外なこと」が、あなたの会社の次の一手を決めるヒントになるはずです。
あわせて読んでほしい!これまでの連載記事
工場の”見える化”、結局なにを見えるようにすればいいのか — 製造業DXの最初の一歩(#1)
「日報、ちゃんと書いてあるのに数字が合わない」— 紙の日報が抱える3つの限界(#2)
“ちょこ停”はなぜ見つからないのか — リーダーが現場を回っても掴めない停止時間の話(#3)
Dsyncとは何か — ラズパイベースの小型IoTデバイスでできること・できないこと(#4)
Dsyncが変える4つのこと — リアルタイム性・管理工数・改善活動・共通認識(#5)
設備稼働だけじゃない — IoTデバイスにセンサーをつけて広がる活用パターン(#6)
次回
#8 「稼働率が50%から70%に上がったら、いくら投資できますか?」— Dsync投資回収の考え方
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