#4 Dsyncとは何か — ラズパイベースの小型IoTデバイスでできること・できないこと
この記事を読むと分かること
・Dsyncの中身と、他のIoT製品との差別化ポイント
・「できないこと」も包み隠さずにお伝えいたします
・小規模に始めて、柔軟に拡張できる設計思想
製造業向けのIoT製品を検討し始めると、価格も仕様もさまざまな製品があり、どれを選ぶべきか迷うことがあります。
大手信号灯メーカーの製品、計測機器メーカーの製品、ラズパイベースのベンチャー製品。
スペック表を見比べても、「結局何が違うのか」がわかりにくいものです。
この記事では、チョイデジが提供するIoTデバイス「Dsync」を例に、製造業で使うIoTデバイスの選び方について解説します。
また、良い点だけでなく、Dsyncで「できること」と「できないこと」も正直にご紹介します。
Dsyncの正体
Dsyncは、Raspberry Pi(ラズベリーパイ)という手のひらサイズの小型コンピュータをベースにしたIoTデバイスです。よく、ラズパイと呼ばれるデバイスです。
CPUにARM Cortexを搭載しており、iPhoneにも近い系列のチップなので小型ながら十分な処理能力を持ちます。
中身を分解して見ると、4つの要素で成り立っています。
1.GPIO(汎用入出力ポート)
これがIoTデバイスとしての本質です。
機械の信号灯(緑・黄・赤)、生産カウンター、コールボタンなどの信号を、見える電気信号として取り込みます。
機械の制御盤にクワガタ式の端子で接続し、GPIO2=RUN、GPIO3=STOP、というように割り振って使います。
2.USBポート(拡張センサー接続)
ここが他のIoT製品との大きな違いです。
USBポートを使って、温度・圧力・電圧・電流・振動などさまざまなセンサーをデバイスに追加できます。
設備の稼働だけでなく、周辺環境の数値データまで扱える設計になっています。
3.OS搭載
LinuxベースのOSが動作しているので、IoTデバイスの上でスクリプトやアプリケーションを動かせます。
取得データをその場で加工してからクラウドに送る、といったエッジ処理が可能です。
これはいざというときに拡張の余地になります。
4.低消費電力
消費電力はわずか数ワット程度です。
一年中電源を入れっばなしにしても、電気代は許容範囲に収まります。
製造ラインに多数台を設置してもインフラ負荷が軽いというメリットがあります。

競合製品と何が違うのか
製造業向けのIoT製品は、大きく3つのタイプに分かれます。
タイプ①:特定メーカーの製品を通して使う製品
信号灯メーカーが提供するIoTや、計測機器メーカーの製品です。
このタイプはそのメーカーの製品との組み合わせを前提に設計されています。
安定している一方で、そのメーカーの製品体系にロックされます。
拡張したいときに選択肢が限られます。
タイプ②:より汎用的なIoT設備
センサーの汎用性が高い一方、加工や設定の自由度が長所でもあり短所でもあります。
センサーで取得したデータを表示するために、Webシステムの開発も必要となります。
製造業の現場でそのまま使いこなすには、社内体制の構築や、ベンダーの手厚いサポートなどの補助輪が必要です。
「何でもできる」と「何も始まらない」というボトルネックが発生しがちです。
タイプ③:製造業に特化したパッケージ
Dsyncがこのポジションです。
設備稼働や生産カウントなど、製造業で最も使われるデータ取得を主眼としています。
その上で、センサー拡張による柔軟性も兼ね備えた端末という位置付けです。
「できないこと」を説明します
ここからは、Dsyncの「できないこと」を正直にお伝えします。
IT導入の現場では「なんでもできます!」という製品によく出会います。
ところが実際の運用段階になると、「その機能には対応していません」「そこは運用でカバーしてください」と言われることも少なくありません。
こうしたギャップが、導入後の「思っていたのと違う」を生む原因になります。
そうした事態を避けるため、現時点でDsyncが取り付けられないケースをあげておきます。
ケース①:制御盤が基盤一体型の機械
IoTデバイスは、制御盤内の端子台にクワガタ式コネクタを接続し、信号を取得します。
ところが、一部のヨーロッパ製設備や特殊な機械では、制御盤内の回路が基板一体型になっている場合があります。
この場合、信号を取るための外部接点がないため、取り付けることができません。
この場合は、USBポートに拡張センサーを接続し、機械の動きや振動を拾うアプローチになります。
ケース②:電源無しで使用する機械
信号灯やカウンター出力など、取得できる電気信号がそもそも存在しない手動設備には、そのままでは適用できません。
この場合も、USBポートに拡張センサーを追加して必要情報を拾うアプローチになります。
ケース③:ネットワーク環境がない環境
データをクラウドに送信するためには、何らかのネットワーク接続が必要です。
工場の事務所にはネットワーク環境が整っていても、製造ラインや倉庫では通信環境が確保されていないケースがあります。
Wi-Fiルーターや中継器の追加で解決できる場合もあります。
ただし、通信インフラ自体がない現場では、別途通信環境を整える必要があります。
導入のハードルを下げる仕組み
これらの「取り付けられないケース」が存在するため、チョイデジではテスト導入を推奨しています。
本導入の前に、まずは1〜2台を実際の設備へテスト取り付けします。
その上で「問題なく設置できるか」「データが取れるか」「クラウドへ送信できるか」をしっかり確認します。
その後、2週間~1ヶ月ほどデータを収集し、「本当に自社で活用できるか」を見極めてから本導入に進みます。
このステップを踏むことで、「購入したのに取り付けられなかった」という失敗を防げます。
同時に、「期待していたデータが取れなかった」といったリスクも未然に回避できます。

Dsyncは拡張にも対応
Dsyncは設備稼働の見える化を出発点としています。
しかし、USBポートを活用したセンサー拡張により、次のような用途にも対応できます。
- 機械周辺の温度・湿度モニタリングによる予防保全
- 電力消費の計測と電力コスト集計
- 制御盤内の電流値監視による部品劣化の予兆検知
- タブレットと連携したNG原因・停止原因の入力
まずは設備の稼働状況を把握し、小さな改善効果を確認する。
この段階的な拡張性こそが、Dsyncの最も得意な点です。
製造業に適したIoT製品選びの視点
最後に、製造業でIoT製品を選ぶときの3つの視点を提示しておきます。
- 初期費用が「まずは試してみよう」と思える範囲か — いきなり数千万円というスケールは適さない
- 拡張の余地があるか — 今は設備稼働だけでも、将来何をしたいかを見定めて選ぶ
- 提供企業が製造現場を理解できるか — 技術だけでなく、現場の言葉とオペレーションを理解しているパートナーを選ぶ
これらは製品スペックだけでは判断しにくい部分です。
しかし、長く活用していくうえで大きな差につながるポイントです。
まとめ
Dsyncは、「最初の一台」に適したIoTデバイスとして設計されています。
多機能さや価格の安さだけを競うものではありません。
「製造現場で本当に効果が出る状態までたどり着けるか」を最も重視した設計思想です。
「見える化に興味はあるけれど、大規模なDXに踏み切るほどではない」とお悩みではないでしょうか。
そんな現場にこそ、Dsyncのような「チョコッと始められるIoT」が有力な選択肢になります。
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工場の”見える化”、結局なにを見えるようにすればいいのか — 製造業DXの最初の一歩(#1)
「日報、ちゃんと書いてあるのに数字が合わない」— 紙の日報が抱える3つの限界(#2)
“ちょこ停”はなぜ見つからないのか — リーダーが現場を回っても掴めない停止時間の話(#3)
次回
#5 Dsyncが変える4つのこと — リアルタイム性・管理工数・改善活動・共通認識
チョイデジ株式会社では、2週間のお試し導入から始められる製造業向けIoTサービス「Dsync」を提供しています。
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